医療行為の基準について
北海道大学病院における歯科研修医の歯科医療行為に関する許容基準
(平成 18 年 2 月)
歯科臨床研修委員会
1.診査
1)基本的診査
水準1 | 水準2 | 水準3 | 水準4 |
指導医の指導のもとに実施が許容されるもの | 状況によって、指導医の指導あるいは監視のもとに実施が許容されるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の補助にとどめるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の見学にとどめるもの |
・問診 ・視診 ・触診 ・打診 ・動揺度検査 ・温度診査 ・咬合状態の診査 ・血圧測定 ・口腔・顎・顔面の写真撮影 ・唾液分泌能検査 ・切削による検査 ・う蝕活動性試験 ・エックス線検査 口内法、パノラマ撮影法 ・診査用模型の作製 ・電気診 ・透照診 ・インピーダンス測定検査 ・根管内細菌培養検査 ・根管長測定検査 ・歯周ポケット測定 ・プラーク指数測定 ・歯石指数測定 ・出血指数測定 |
・聴診(顎関節) ・化学診 ・塗沫検査 ・咀嚼能率検査 ・金属アレルギー検査 ・歯周ポケット浸出液の検査 |
・血液検査 ・止血機能検査 ・免疫学的検査 ・一般細菌検査 ・細胞診検査 ・生化学的検査 ・顎口腔機能検査 ・心電図検査 ・呼吸機能検査 ・口臭検査 ・心理学的検査 ・エックス線検査口外法 ・根管内視鏡検査 ・実体顕微鏡による検査 ・歯周ポケット内細菌検査 |
・病理組織学的検査 ・MRI 検査 ・超音波検査 ・末梢神経機能検査 ・核医学検査(シンチグラム等) ・嚥下機能検査 ・エックス線検査 頭部規格撮影法、造影撮影法、断層撮影法、CT 撮影法 |
2)その他
水準1 | 水準2 | 水準3 | 水準4 |
指導医の指導のもとに実施が許容されるもの | 状況によって、指導医の指導あるいは監視のもとに実施が許容されるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の補助にとどめるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の見学にとどめるもの |
・穿刺 | ・採血 |
2.治療・術式
1)一般的事項
水準1 | 水準2 | 水準3 | 水準4 |
指導医の指導のもとに実施が許容されるもの | 状況によって、指導医の指導あるいは監視のもとに実施が許容されるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の補助にとどめるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の見学にとどめるもの |
・診療録の作成 ・処方箋の作成 ・歯科技工指示書の作成 ・歯科技工物の作成 ・局所麻酔 表面麻酔・浸潤麻酔 |
・患者への病状の説明 ・インフォームドコンセント ・診断書の作成 ・検査指示書の作成 ・医療情報提供書の作成 ・保護者または家族への説明 |
・局所麻酔 伝達麻酔 |
・死亡診断書の作成 |
2)歯・歯周疾患
水準1 | 水準2 | 水準3 | 水準4 |
指導医の指導のもとに実施が許容されるもの | 状況によって、指導医の指導あるいは監視のもとに実施が許容されるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の補助にとどめるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の見学にとどめるもの |
・窩洞形成(単純・複雑) ・レジン充填 ・グラスアイオノマー充填 ・インレー修復 ・アマルガム充填 ・レジンインレー修復 ・歯髄鎮痛消炎療法 ・ラバーダム防湿 ・仮封 ・Hys 処置 ・覆髄法(直接・間接) ・抜髄法(簡単なもの) ・感染根管治療(簡単なもの) ・根管充填法 ・歯周基本治療 プラークコントロール指 導、スケーリング、ルートプレーニング、習癖に対する習慣矯正、簡単な暫間固定、咬合調整(少数歯) ・手術後処置(抜糸、洗浄) ・メインテナンス |
・セラミックインレー修復 ・外科的歯内療法 外科的排膿路確保、ヘミセクション、根尖掻爬、歯根端切除、逆根管充填、歯根切除、再植 ・外傷歯の処置 ・歯の漂白、変色歯の処置 ・歯内-歯周病変の処置 ・イオン導入 ・断髄法 ・抜髄法(複雑なもの) ・感染根管治療(複雑なもの) ・アペキシフィケーション ・歯周治療計画の立案 ・ナイトガードの作製・装着・調整 ・複雑な暫間固定 ・永久固定 ・咬合調整(多数歯) ・治療用義歯 ・歯周外科手術 歯肉切除、歯肉整形、歯周 ポケット掻爬、新付着、フ ラップオペ、歯肉歯槽粘膜 形成、遊離歯肉移植、歯根 分離、トンネル形成、ヘミ セクション、オドントプラ スティ、歯槽骨切除、骨移 植、フラップ(複雑なもの)、 GTR、ルートアンプテーシ ョン ・局所薬物配送システムの応用 |
・レーザー、エアアブレーシブおよび化学機械的方法によるう蝕除去 |
3)歯の欠損・咀嚼障害
水準1 | 水準2 | 水準3 | 水準4 |
指導医の指導のもとに実施が許容されるもの | 状況によって、指導医の指導あるいは監視のもとに実施が許容されるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の補助にとどめるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の見学にとどめるもの |
・歯冠修復処置 支台歯形成・修復処置(簡単なもの) ・支台築造 ・固定性欠損補綴処置 平行関係に問題の少ない橋義歯の支台形成と補綴処置 ・可撤性欠損補綴処置 部分床義歯による簡単な欠損補綴症例、全部床義歯による簡単な欠損補綴症例 |
・歯冠形態修正 ・咬合調整 ・スプリント製作 ・簡単な補綴物破損の修理・調整 ・顎口腔機能の診断と治療計画の立案 |
・複雑な補綴物破損の修理・調整 ・固定性欠損補綴処置 困難な冠橋義歯の支台形成と補綴操作 ・可撤性欠損補綴処置 困難な欠損補綴症例 |
・固定性欠損補綴処置 可撤性支台装置による複雑な欠損補綴処置 ・可撤性欠損補綴処置 顎顔面補綴治療症例 |
4)口腔・顎・顔面領域の疾患
水準1 | 水準2 | 水準3 | 水準4 |
指導医の指導のもとに実施が許容されるもの | 状況によって、指導医の指導あるいは監視のもとに実施が許容されるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の補助にとどめるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の見学にとどめるもの |
・抜歯 永久歯(簡単なもの)乳歯(簡単なもの) ・口腔内消炎手術小膿瘍切開 ・歯槽骨整形手術 ・口腔内縫合処置 |
・抜歯 永久歯・乳歯(困難なもの)、埋伏歯 ・口腔内消炎手術歯肉弁切除 顎骨骨膜炎 ・歯肉息肉除去 ・頬口唇舌小帯形成術 ・口腔外消炎手術 ・抜歯窩再掻爬術 ・腐骨除去手術 ・歯根嚢胞摘出術 ・歯の移植と再植 ・骨折の非観血的整復術 ・顎関節脱臼の非観血的整復術 ・顎関節の治療 |
・口腔内消炎手術骨髄炎 ・顎骨腫瘍摘出術 ・顎堤形成術 ・骨折の観血的整復術 ・インプラント |
5)口腔保健
水準1 | 水準2 | 水準3 | 水準4 |
指導医の指導のもとに実施が許容されるもの | 状況によって、指導医の指導あるいは監視のもとに実施が許容されるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の補助にとどめるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の見学にとどめるもの |
・口腔保健指導 ・う蝕の予防 フッ化物塗布、予防填塞 ・歯周病の予防口腔清掃 |
・う蝕の予防 生活指導(摂食指導等) ・歯周病の予防 ・口腔の健康の維持管理に関する指導 |
・集団に対する歯科検診 ・集団に対する歯科保健指導 ・フッ化物洗口 |
・保護者または家族に対する生活指導 |
6)全身管理
水準1 | 水準2 | 水準3 | 水準4 |
指導医の指導のもとに実施が許容されるもの | 状況によって、指導医の指導あるいは監視のもとに実施が許容されるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の補助にとどめるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の見学にとどめるもの |
・バイタルサインの把握 ・誤嚥に対する処置 |
・一次救命処置 気道確保(頭部後屈あご先挙上) ・過換気症候群に対する処置 ・全身管理法 吸入鎮静法、全身疾患を有する患者の歯科治療時のモニター監視 ・全身疾患を有する患者の歯科治療(日常生活に支障がない) |
・入院患者の処置と手術 ・入院患者の管理 ・全身疾患を有する患者の歯科治療 ・感染事故に対する処置 ・全身管理法 静脈内鎮静法 |
・全身感染症を有する患者の歯科治療 ・一次救命処置 人工呼吸(口対口人工呼 吸)、心臓マッサージ(開胸式心臓マッサージ) ・誤嚥に対する処置(ハイムリック法) ・全身管理法 全身麻酔法 |
7)成長発育・不正咬合
水準1 | 水準2 | 水準3 | 水準4 |
指導医の指導のもとに実施が許容されるもの | 状況によって、指導医の指導あるいは監視のもとに実施が許容されるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の補助にとどめるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の見学にとどめるもの |
・模型および顎態分析 ・成長発育期の口腔・顎顔面の診査 ・診断、治療方針の立案、保健指導 ・定期健診時の診察、検査 |
・矯正治療計画の立案 ・矯正装置の作製 ・協力児のう蝕治療 ・咬合誘導 ・保隙装置の作製 ・抑制矯正治療 ・矯正装置の操作 ・包括的矯正治療 |
・小児の重症う蝕の治療 |
8)心因性疾患
水準1 | 水準2 | 水準3 | 水準4 |
指導医の指導のもとに実施が許容されるもの | 状況によって、指導医の指導あるいは監視のもとに実施が許容されるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の補助にとどめるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の見学にとどめるもの |
・対人関係・患者対応能力の訓練医療面接、チームマネージメントの理解 | ・受診者の心理的背景の理解と把握 ・患者の社会的・環境的背景の理 解と把握 |
・心因性疾患を有する患者への対応 | ・心因性疾患を有する患者の管理 |
9)高齢者
水準1 | 水準2 | 水準3 | 水準4 |
指導医の指導のもとに実施が許容されるもの | 状況によって、指導医の指導あるいは監視のもとに実施が許容されるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の補助にとどめるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の見学にとどめるもの |
・口腔診査 ・ホームケア指導 ・口腔保健指導 |
・口腔疾患予防処置 ・高齢者の歯科治療 |
・要介護者に対する歯科治療 |
10)障害者
水準1 | 水準2 | 水準3 | 水準4 |
指導医の指導のもとに実施が許容されるもの | 状況によって、指導医の指導あるいは監視のもとに実施が許容されるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の補助にとどめるもの | 原則として、指導医の歯科医療行為の見学にとどめるもの |
・口腔診査 ・ホームケア指導 ・口腔保健指導 |
・口腔疾患予防処置 ・障害者の歯科治療(予防処置など簡単なもの) |
・障害者の歯科治療 | ・重度障害者の歯科治療 |